砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
それから1週間後。

すっかり私に懐いてしまった子供達は、風邪も治ったというのに、またこの建物に来る。

「来てくれるのは嬉しいけれど、また風邪をひくとダメだから、お家の近くで遊んでね。」

それを通訳のアリさんが訳してくれて、ようやく子供達は散っていく。

でも次の日になると、お決まりみたいに、私の元へやってくるのが、日課だった。

「千奈ちゃんは、人気者だね。」

津田先生は、注射を嫌がっている子供を前にして、たじろいでいる。

子供は泣きながら、津田先生に何か言っていた。

「何て言ってるんですか?」

「痛い事をする悪魔だって。」

「ええ!」

確かに子供から見たら、あまり注射は好きじゃないだろうけど、でも悪魔って……
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