砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
その時だった。

大人たちが一斉に、中央の道路に集まって来た。

「何かあったの?」

外に出て上を見上げると、時が止まった。

「アムジャド……」

「チナ?」


あのアムジャド?

日本に来ていたアムジャド?

ああ、涙でよく見えない。


すると近くから、アムジャドの声が聞こえてきた。

「君の名前は?」

私はハッとした。

何を言っているの?

私だって、分かってないの?


すると周りの人が、ワーワー言い出した。

「チナさん。みんな、なぜ皇太子が聞いているのに、答えないのかと言っている。」

「あ、あの……」

私は息をゴクンと飲んだ。

「森川……千奈です。」

「チナか。そうか……分かった。ここへは、何をしに来ている?」

「土井先生の元で、医療の勉強をしています。」
< 137 / 311 >

この作品をシェア

pagetop