砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
アムジャドには、先生と恋人同士なんて、知られたくなかった。

私、どうかしているのかな。

「じゃあ、千奈。また明日。今日は二人に紹介した人が、山ほどいるんだ。」

「うん。先生また。」

津田先生に手を振ったら、アムジャドが振り返って私を見ていた。

ドキッとした。


アムジャド・サッタール。


その名前を私は心の中で呟いた。

瞳の綺麗な人。

綺麗な日本語を話す人。

そして、私の心の中に住み着いた人。

胸が痛かった。

痛くて痛くて、私は胸を押さえた。

一緒にはいられない人。

それが悲しかった。

なぜ、悲しいのだろう。

その答えは、案外あっさりと分かった。


私はアムジャドに、一目惚れをしたのだ。

決して付き合えないのに。

同じ世界で生きて行けない人だと言うのに。
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