砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
蜜愛
その日の夜の事だった。

私達の建物の前に、怪しい人達がやってきた。

「何だ?」

夕食を摂っていた私達は、慌てて皿を持って、奧に引っ込んだ。

「こちらに森川千奈という者はいるか?」

「はい。」

私は何も考えずに、手を挙げた。

「我々と同行を願う。」

「えっ?」

私達は一斉に固まった。

「千奈。簡単について行ってはダメだ。女性を狙った人身売買かもしれん。」

「人身売買!?」

あの土井先生が、焦っている。

「なんだ、それは!千奈ちゃん、俺の後ろに下がって。」

津田先生が私の前に、立ちふさがった。

「だったら、なんで日本語話せる?」

通訳のアリさんが、ぼそっと一言。

「ん?」

私達は顔を見合わせた。

「もしかして、日本人女性を狙っているのか?」
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