砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「よおし!俺が千奈ちゃんを守るぞ!」

津田先生は今まで食事に使っていたフォークを、建物の外にいる人達に向ける。

「ご同行頂けないのか。」

「当たり前だろ!人身売買の奴らに、千奈ちゃんを渡せるか!」

先生が叫ぶと、建物の前の人達は、困った素振りを見せた。

「どうかお願いします。千奈さんを連れて行かないと、殿下に怒られます。」

「殿下!?」

「はい。アムジャド皇太子殿下です。」

「アムジャドが……」

途端に津田先生は、フォークを降ろした。

「千奈ちゃん、行って来なよ。」

津田先生が、私の背中を押した。

「だって……」

「千奈ちゃんは、アムジャドに会いたくて、ここに来たんだろう?」

ドキッとした。

そんな事、土井先生の前で言ったら、怒られるかも。
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