砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
すると土井先生は、うんうんと頷いている。

「愛する者を追って、こんなへき地に来たという訳か。泣けるな。千奈、行ってこい。」

土井先生も、後押ししてくれる。

「津田先生……土井先生……」

二人の気持ちで、胸がいっぱいになる。

私、アムジャドの胸に飛び込んでいいの?


「ええい!もし不安だったら、俺も付いて行こうか?」

津田先生が前に出た。

「止めんかい!おまえさんが行ったら、邪魔になるだけだろ!」

「でも!」

「でももだけどもない!」

二人が仲良く争っているのを見ると、いつの間にそんな仲に?と思う。


その時だった。

「まだ、連れて来れぬのか。」

人だかりの中から、白い服を着た人が、一歩前に出た。

「もう、僕の側には来てくれないのか?」
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