砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「アムジャド……」

あの国へ帰る時のアムジャドが、アラブの服を身にまとって、そのまま私の前にいる。

「迎えに来たよ。チナ。」

「アムジャド!」

私はアムジャドの胸の中に飛び込んだ。

「チナ、会いたかった。」

アムジャドがぎゅっと、私を抱きしめてくれる。

「アムジャド。私も。」

そして私も、アムジャドの背中に腕を回した。

シーンと辺りが静まる中、建物の中からわんわんと泣く声がした。

振り返ると、土井先生と津田先生が、泣いていた。

「よかったな、千奈ちゃん。」

「アムジャド、千奈を頼む。」

こうして見ると、二人共いい先生なんだなって思う。


「では、Dr,ドイ。チナをお借りします。」

「ああ。連れて行け。」

そしてアムジャドは、私を抱きかかえた。
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