砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「アムジャド。私、一人で歩けるわ。」

「いいんだ、チナ。僕がそうしたいのだから。」

アムジャドの優しい視線が降り注ぐ中、私達は中央の道を歩き始めた。

「どこに行くの?」

「この街の奥に、テントを張っている。今日はそこでお泊りだ。」

お泊りと言う言葉に、キュンとする。

密かに憧れていたっけ。

「さあ、あそこだ。」

暗い街の中、そこだけが異世界のように、光が放たれていた。

「降ろして。ここから歩くわ。」

「ダメ。僕のテントの中に入るまでは、お姫様を歩かせられないよ。」

「お姫様……」

「そうだよ。チナは僕のお姫様だ。」

こんな私服の上に白衣を着ただけの私を、お姫様だなんて。

アムジャド、本当に優しい!!

「着いた。」

降ろされた場所は、アムジャドのベッドの上だった。
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