砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「ねえ、今更なんだけど。」

「何?」

「本当に、アムジャドなの?」

「これを被っていると、そう見えない?」

アムジャドは、ターバンを外した。

そこには、私が見知ったアムジャドの姿があった。

思わず涙が出る。

「この服も脱いだ方がいいかい?」

「ううん。」

私は改めて、アムジャドの胸にしがみついた。

「ああ、アムジャド。私のアムジャド。」

「そうだよ。僕はチナのモノだよ。」

甘い声が、耳の側で聞こえてくる。

日本にいた頃の、私達を思い出す。


「私の事、忘れていないかったのね。」

「忘れられるものか。僕の愛した人だ。」

私達は、久しぶりに唇を交わした。

「チナは?僕の事忘れていなかった?」

「一日だって、忘れた事はないわ。あなたに会いたくて、たまらなかった。」
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