砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「もう、アムジャドってば。」

繋がれた腕から、温もりが伝わってくる。

「診療所まで送るよ。」

「ううん。自分で歩いて帰るわ。」

そして私は、ベッドを出た。

「チナ。」

「ん?」

「仕事が終わったら、今日も迎えに行く。」

久しぶりに、胸がキュンとした。

「う、うん。」

するとアムジャドは、優しそうに微笑んだ。


アムジャドのテントを出て、土井先生が待つ建物に戻った。

「おお、千奈。戻ったか。」

「はい。」

すると土井先生は、ニヤニヤしながら私に近づいて来た。

「皇太子に、思いっきり抱かれてきたか?」

「えっ!!」

その時津田先生が、土井先生を私から引き離した。

「そういう話は、禁句ですよ。土井先生。」

「すまんすまん。」

そのやりとりが面白くて、私は笑ってしまった。
< 152 / 311 >

この作品をシェア

pagetop