砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
そしてその日の夜も、アムジャドは本当に私を迎えに来た。

「チナ。」

手を広げて待っているアムジャドの中に、そっと抱き着いた。

「おっと、今日も来たのか。」

建物の中から出て来た土井先生が、驚いていた。

「Dr,ドイ。今日もチナをお借りしますよ。」

「アムジャド皇太子、もう千奈はあなたのモノなのですから、私の許可など取らずともよいでしょう。」

するとアムジャドは、照れくさそうに笑った。

「さあ、今日もお姫様を抱きかかえるか。」

「待って、アムジャド。」

ん?とアムジャドは、腕を止めた。

「私、自分の足で歩きたいの。」

「僕に甘やかされるのは、嫌かい?」

「ううん、嫌じゃない。でも、お荷物になるのは嫌なの。」

「お荷物だなんて、一度も思った事ないよ。」
< 153 / 311 >

この作品をシェア

pagetop