砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
アムジャドは、何でもないような顔をしている。

うーん。何て言ったら、いいんだろう。

「アムジャド。あなたは私の事を、お姫様だと言うけれど、私は実際お姫様じゃないわ。」

「そうだね。でもどんなチナだって、僕のお姫様だ。」

それでも分かってくれない。

「ああ、さっきから聞いておれば、お姫様だの違うだの、何じゃそれは。」

土井先生も呆れている。

「千奈ちゃんは、頑固だね。男は好きな女の子を、お姫様扱いしたいものなんだよ。」

いつの間にか、津田先生まで現れて。

「チナさん。しっかり者。でも、こういう時は恋人に甘えた方がいい。」

通訳のアリさんでさえ、こんなものだ。

「分かったわ。」

私はアムジャドの首に、腕を回した。

「さあ、行こうか。僕のお姫様。」
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