砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
私が抱きかかえられると、アムジャドは歩き出した。

素肌から、いい香りがしている。

「アムジャド、いい匂いがする。」

「そうかい?部屋に香をたいているんだ。気に入ってもらってよかった。」

私、決して痩せてる訳じゃないのに、軽々と持ち上げて歩くなんて。

アムジャド、逞しい。

「……私、重いでしょう?」

「そんな事はない。愛しい人の重みだ。抱えきれなくてどうする?」

優しい視線が、私を見降ろす。

「軽かったら却って、心配してしまう。アラブの食事は、口に合わなかったのかとな。」

アラブの食事か。

いつも私が作っているから、どちらかというと日本食なのに。

「そう言えば先生達、夕食はどうしてるのかしら。」

「安心してくれ。豪華な料理を、運ばせてもらっているよ。」
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