砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
するとアムジャドは、側の棚から一つのお香を取り出した。

「イランイランだ。官能的な香りがする。」

火を着けると、その煙が辺り一帯を漂った。

「どう?いい香りだろ?」

「うん……」

確かにいい香りだけど、官能的って言われてもね。

恋人の誘いを断るなんて、私ダメな彼女なのかしら。


「今日も宴といこう。」

昨日と同じように、給仕の人達や踊り子たちがスタンバイをする。

「今夜がチナが、始まりの合図をして。」

アムジャドが両手を打つ真似をした。

「こう?」

見よう見まねで手を叩くと、音楽が流れ始め、踊り子たちがダンスを始めた。

昨日も見たけれど、スタイルのいい人達ばかり。

「ねえ、アラブの王様は、この中から恋人を選ぶ時があるの?」
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