砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「あるよ。でも多くは、悲しい結末に終わるらしい。」

「それって?」

「妾妃に迎える事なく、別れてしまう事だよ。」


艶めかしい踊り。

懸命に腰や腕をくねらせる彼女達の、望むモノは何なんだろうか。

ううん。本当は私だって、この踊り子達と一緒なんだわ。

そんな事を考えると、寂しくなってきた。


「そんな顔しないで、チナ。」

アムジャドが私の額にキスをする。

「チナが寂しい顔をすると、僕も寂しくなる。」

「うん。そうね。」

私はアムジャドに笑って見せた。


何を寂しい事があるの。

アムジャドはここにいるというのに。

私の側にいると言うのに。

この瞬間を、限りなく楽しまなきゃ。


「チナ……僕達のこれからの事なんだけど。」

私はハッとした。
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