砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「チナと二度と離れたくない。留学が終わっても、モルテザー王国に残る気はないか。」

ここに。モルテザー王国に。

こうしてアムジャドと一緒に、お香の香りに包まれて、踊り子たちを見ながら暮らすの?

「アムジャド。私、一旦日本に帰るわ。」

「チナ……」

アムジャドは、私をきつく抱きしめた。

「ああ、チナ。再び遠くに行ってしまうなんて。僕には耐えられない。」

「アムジャド……」

もし、アムジャドの言うように、ここに残れば、この世の極楽を味わいながら、楽しく過ごせるだろう。

でも?私は?私の人生は?

「アムジャド。私、日本で医師免許を取ってくるわ。」

「チナ?」

「そしてまた、モルテザー王国に戻ってくる。今度は医者として。」

するとアムジャドは、私をそっと放した。
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