砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「今日は、このまま帰したくないな。」

「えっ?」

私は先生を見つめた。

真剣な眼差し。

何も言わなくても分かる。

私は、自分の体を抱きしめた。

「私……」

「分かってる。でももう、抑えきれないんだ。君を僕のモノにしたい。」

付き合ったら、こんな日が来る事は分かっていた。

でも、心が重い。


「ちょっとお手洗いに行ってきていいですか?」

「ああ、いいよ。」

私は席を立って、トイレに行った。

体を冷ますように、手を洗う。

大丈夫よ。先生は優しい人だもの。

身を委ねても、いい人だわ。

そう自分に言い聞かせて、トイレから出てきた時だ。


「チナ。」

振り返ると、アムジャドがいた。

「偶然だね。こんなところで会うなんて。」

「アムジャド……」

ああ、こんな時でさえ、アムジャドの深い瞳に吸い込まれる。
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