砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「ならば、このまま千奈を、モルテザー王国に?」

「そうしたい。だが、チナがそれを望んでいない。」

「えっ?」

土井先生が、こっちを見た。

慌てて、壁の裏に隠れて、土井先生から見えないようにした。

「医師になってから、またモルテザー王国に来ると言ってくれた。」

「なんでそんな事を……」

土井先生が、泣いている。

「それじゃあ、また皇太子とチナは、離れ離れになるではないか。」

私達の為に、土井先生は泣いてくれているんだ。

胸がジーンと温かくなる。

「大丈夫です、Dr,ドイ。今の私達は前と違います。どんなに離れていても、心は一緒です。」

「それならいいが。」

「それに、王妃になる女性には、自立した方が必要です。チナはそれに相応しい。」
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