砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
イマードさんは、私をこのモルテザー王国に連れて来たくはなかったはずだ。

それは、私がアムジャドの奥さんになっては、困るから。

「イマードさんは、私達を引き裂いたわ。」

「分かっている。帰国後しばらくは、イマードと話す事はしなかった。」

あんな仲の良かった二人が、口も利かなったなんて。

胸が痛い。

「だがイマードは、私の肩腕なんだ。そこは分かってほしい。」

「うん。」

そして何を血迷ったのか、アムジャドの腕を握った。

「ねえ、イマードさんと私、どっちが大切?」

「チナ……」

「解ってる!イマードさんだって事ぐらい!でも、イマードさんがどうしても私と結婚するのは駄目だって言ったら、どうするの?」

アムジャドは、腕から私の手を取って、逆にその手を握ってくれた。
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