砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「ああ。」

イマードさんが、一歩前に出る。

「チナ様もお待ちしておりました。」

「ありがとう。」

それが本心なのか、疑ってしまう。

ううん。皆の手前、ただ言っているだけよ。


「まず部屋で一息つく。」

「かしこまりました。」

「行こう、チナ。」

私の腰に手を当て、アムジャドは奥の部屋に進む。

「チナ様もお連れするつもりですか?」

「何か問題でも?」

アムジャドとイマードさんは見つめ合った。

この張りつめた空気が、私の緊張をより大きくする。

「……いいえ。」

イマードさんが一歩退くと、アムジャドは私の手を引いて、歩き始めた。

「ねえ、アムジャド。まだイマードさんと仲直りしていないの?」

「そうじゃない。ただ距離を置いているだけだ。」
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