砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
しばらく歩くと、大きな階段が見えて来た。

「この階段を昇った奥が、僕の部屋だ。」

「そうなんだ。」

私が階段を昇り始めた時だった。

「待ちなさい。」

後ろから、やけに低い声が聞こえてきた。

アムジャドの表情が曇る。

「アムジャド。戻って来たら、先に私に会うべきだな。」

私はアムジャドの顔を見た。

「……お父さん、日本語を話せるの?」

「ああ。Dr,ドイの影響でな。」

するとアムジャドは、お父さんのところへ行った。

「申し訳ありません。長いテント生活で、疲れていたもので。それに私の恋人を休ませようと。」

お父さんは、チラッと私の方を見た。

「こんにちは。」

私が頭を下げると、お父さんも”こんにちは”と言ってくれた。

「あなたがアムジャドが手折った、東洋の花か。綺麗な方だ。」
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