砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
あの頃が懐かしい。

「えっ……」

血圧が高い。

「熱はありますか?吐き気は?」

すると少し気持ち悪いと言っていると言う。

「吐き気が気になりますね。CTで頭の画像を……」

またハッとした。

ここは機器がそろっていないんだった。

「今度はどうした?」

土井先生からまた声がかけられた。

「この女性、高血圧と吐き気があるんです。頭部CTを撮りたいんですけど……」

そう言っても、ここでは撮れない。

「……またバスでジアー行きですよね。」

すると土井先生は、おばあちゃんに話しかけた。

「意識障害もない。瞳の充血もない。ただの高血圧症だろう。」

「でも……」

「大丈夫だ。その女性は、万年高血圧だからな。」

「えっ……」

おばあちゃんを見ると、ニコニコしている。
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