砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「私達は、ボランティアですね。」

「そうだ。でも住む場所も食べる物にも困らない。全部モルテザー王国が支給してくれるからな。」

私と土井先生は、微笑み合った。

「じゃあ、気合入れて患者さんを治さないと。」

「そう言う事だ。」

それが私の望んだ道だ。


しばらくして陽が落ち、患者さん達はぞろぞろと家に帰って行った。

「今日も終わったか。」

私の元へは、あの風邪の男の子が残された。

その時だった。

バスの運転手から、ジアー行きの最終バスが出ると言付けがあった。

「乗ります。」

私は男の子を抱きかかえ、診療所を後にした。

「千奈ちゃん、アムジャドによろしく。」

津田先生に送られて、私達はバスでサハルを出た。

初めて来た時よりも、道は整備されていて、身体が揺れる事は少なかった。
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