砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
その物言いに、思わず微笑んでしまった。

「なんだか、お母さんみたい。」

それを聞いた女中も、一緒に微笑んだ。

「思えばチナ様は、身寄りのない国に一人でいらっしゃったんですからね。私はサヘルと申します。アラブの母だと思って、頼りになさいませ。」

「ありがとう。宜しくね、サヘル。」

そして私は朝食を摂り、白衣に着替えて、バスに乗った。

今日も、患者さんが来る。

救える命を救う。それだけ。

診療所に着いて、一番最初に目に入ったのは、あの心臓が悪い女の子だ。

「ねえ、お姉ちゃん。胸が痛いの。」

私の服の裾を引き寄せる女の子に、なんて言ったらいいか分からない。

「……お薬飲んでる?」

「うん。でも、最近飲んでも胸が痛いの。」
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