砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
病気が進んでいるのかもしれない。

「もっと強い薬は……」

私が診療所の奥にある、薬の棚に行こうとすると、土井先生がそれを引き留めるように言った。

「もう薬はない。」

「えっ……」

私は持っていた他の薬を、棚に戻した。

「もう手術しか、方法はないのかもな。」

円らな瞳が、私を見ている。

「この女の子のご両親は、手術を受けなければならないこと、それにはお金が必要だと言う事を、知っているんですか?」

「知っている。2、3度話した。でももう一度話さなければならないかもな。」

「もう一度同じ事を言うんですか?」

私は土井先生の前に立った。

「いや、もう命が短い事を伝えなければ。」

「諦めなきゃ、いけないんですか?」

「両親は、お金がないと言っている。仕方ない。」
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