砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「えっ?」

鬼気迫った先生の表情に、圧倒される。

「まだ深い仲にならないうちに、千奈ちゃん。アムジャドから離れるんだ。」

「どうして?どうしてそこまで言うの?」

先生は、ゴクンと息を飲んだ。

「……アムジャドは留学生だ。いづれ国へ帰る。その時、千奈ちゃんはアムジャドに付いて行くのか?」

胸がズキッとした。

「医師になる夢を諦めて?」

頭がクラッとした。

私、何も考えていなかった。

ただアムジャドと一緒にいるだけを、望んで。

「それはこれからの千奈ちゃんにとって、難しい選択だよ。アムジャドの国は、医療後進国だ。しかもアラブ諸国。女性が医師でいるのは、大変な苦労だよ。」

そうだ。アムジャドと一緒にいると言う事は、そんな事も考えなければいけないんだ。
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