砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
でも私の元ばかりに来ていては、フェアじゃないような気がする。

「アムジャド。私、あなたの事好きよ。」

「チナ?」

「だからこそ、ジャミレトさんの気持ちも分かるの。」

彼女は、心少なからずアムジャドを好きでいる。

そんな相手が、異国の女に夢中なんて、胸が潰れるほど苦しいでしょうね。

「分かった。チナの言う通りにするよ。」

そう言ってアムジャドは、湯船から上がってしまった。

広い湯船にただ一人。

胸が痛い。キリキリと痛い。

「どうしたんだ。」

ふと顔を上げると、湯船の側にアムジャドが中腰で座っていた。

「早く上がって。さっきの君の話の続きを聞かなきゃ。」

私は湯船から上がって、アムジャドの腕にそっと手を添えた。

肌と肌が触れ合う。
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