砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「そうか。それは何とかしなくてはな。」

私はアムジャドの側に座った。

「ただ、検査代や手術代を出してほしいって訳じゃないの。」

「分かってる。でもこのままでもいけないだろう。」

アムジャドは、難しい顔をしていた。

「そうだ。日本には、保険制度があったな。」

「ああ、健康保険証の事?」

私は自分の荷物から財布を出して、健康保険証をアムジャドに見せた。

「これは、一部患者さんが治療費を払って、残りは政府が払うっていう決まりだった。」

「そうだけど……モルテザー王国にも、健康保険制度を導入するって事?」

アムジャドはニコッと笑った。

「難しいかもしれないが、なんとかやってみるよ。」

私はアムジャドを抱きしめた。

「あなただったら、できそうな気がする。」
< 245 / 311 >

この作品をシェア

pagetop