砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「千奈ちゃん?」

青い顔をした私を、覗き込んだ先生。

「分かったね。もうアムジャドとは会わないようにするんだ。」

「無理よ。」

アムジャドの顔が思い浮かぶ。

「私、アムジャドに抱かれた。」

「千奈ちゃん……」


アムジャド、今直ぐに会いたい。

今すぐに会って、何も心配するなって、私の不安を取り去ってほしい。


「そうか。そんなに彼の事を……」

私は黙って、頷いた。

「それでも考え直してくれ。考え直してアムジャドと別れたら、また僕の元に戻ってくればいい。」

「先生?」

「一度君を幸せにすると誓ったんだ。誰に抱かれようと、その想いは変わらない。君は安心して、戻って来ていいんだよ?」

はいと、言えなかった。

それは、ある意味先生に甘えているだけで、自分の歩くべき道じゃないと思えたから。
< 25 / 311 >

この作品をシェア

pagetop