砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「はい。できるならば。」

その答えに返事はなく、国王はじーっと私を見つめていた。

「子供が生まれれば、仕事は難しくなるぞ。」

「はい……」

そうよね。子供を育てながら仕事をするなんて。

日本でも大変だと言うのに。

まして家族や親戚のいないこの国で、育てていけるのだろうか。

「何を仰います、国王。チナ様には、私達がついております。」

サヘルが、私の肩を掴んでくれた。

「チナ様のお子様は、国の宝。このサヘルが責任を持って、お育てしましょう。」

「サヘル……」

さすがアラブの母だと思って下さいと、言ってくれただけの事はある。

「そうだな。サヘルがいれば、仕事を抱えながらでも、子供を育てられるかもしれないな。」

国王は、しみじみと仰る。

「チナ。」

「は、はい。」

「跡継ぎを産んでくれないか。」

体中がドクンと、波打った。

「どうだ?跡継ぎを産めるか?」
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