砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「こいつは風邪じゃないよ。」

「風邪だって。熱があるし。」

通訳のアリさんが、子供達の他愛無い話まで、必死に通訳してくれる。

「熱があるのは、気になるわね。体温計で熱計ってみましょうか。」

私はその子を診療所に入れて、体温計で熱を測ってみた。

ピピッと音が鳴って数字を見ても、熱があるとは思えない。

「うーん。熱はないなぁ。身体、熱いの?」

その子は、うんと頷いた。

「こういう時、どうすればいいんだろう。」

私は、土井先生に近づいた。

「土井先生、体温計で熱が無くても、本人が身体が熱いと言っている場合は、どうしますか?」

「チナならどうする?」

質問しているのに、質問で返された。

「……このまま様子を見てもらいます。」

「それでいいんじゃないか?」

「はい。」

私はその子の元に戻ると、今日は大人しく寝ていようねと教えた。

その子は頷いて、家に帰って行った。

「じゃあ、次の子!」
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