砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「はーい!」

元気よく手を挙げる中で、手を挙げない子供もいた。

よく見ると、はぁはぁと息使いが荒い。

「ごめんね。」

子供達の山を抜けて、その子を抱きかかえ、診療所のベッドに寝かせた。

「熱計ろうね。」

そして1分後、出た数字は平熱だった。

でもアリさんは、衝撃の事実を伝えた。

「チナ。この子、身体が熱いって言ってる。」

そして気づいた。

さっきの子と同じ症状だと。


「土井先生。」

「なんだ。」

「またです。平熱なのに、身体が熱いって言っている子。」

「なに?」

土井先生は、その子の額に手を当てた。

「少し熱いな。」

「でも体温計は、平熱で。」

「汗で低く出る時もあるんだ。」

続いて聴診器で、肺の音を聞く。

「風邪だと思う。いつもの風邪薬飲ませて、様子を見よう。」

「はい。」

さっきの子と言い、この子と言い、様子を見る事になった子供。

それなのに私は、言い知れない不安感に襲われていた。
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