砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
その日の診療を終えて、バスで1時間。

私は宮殿に戻って来た。

「お帰り、チナ。」

「アムジャド。」

いつもとは違う、アムジャドの出迎えに、私は驚きを隠せなかった。

「どうしたの?今日は。仕事早く終わったの?」

「ああ。チナに早く会いたくてね。」

抱きしめてくれたアムジャドの温もりに、私は包まれた。

そして気が抜けたのか、はぁっとため息をついた。

「疲れているようだね。」

「うん。」

アムジャドは私を抱えると、部屋に向かった。

「今日は、私一人で歩けるわって、言わないんだな。」

「なんだか今日は、甘えたい気分なの。」

私はアムジャドの首元に、顔を埋めた。

「何があった?」

「……あのね。子供が身体が熱いって訴えてきたの。」

「それで?」

「体温計で測ったら、平熱。でも土井先生が言うには、汗で体温が低く出る事があるって。私、そう言うのも知らなくて。」
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