砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
病院に来た時よりも、もっと肩の荷が重い。

下を向いて歩いていると、目の前にバスの運転手が来てくれた。

「検査どうだった?」

私は首を横に振った。

「そうか。」

バスの運転手さんも、がっかりしている。

「俺の息子も、同じ病気なんだ。今妻が診療所に連れて行ってる。」

私は顔を上げた。

「早く原因が見つかって、一人でも多くの子供が助かればいいけれど。」

胸が痛かった。

私はまた、なす術もなく子供を見送る事になるのか。

私は頭を激しく振った。

「隣の国で検査してみるって、お医者さんが言ってた。2、3日後には分かるかもしれない。」

自分にもバスの運転手さんにも言い聞かせるように、強く言った。

そうよ。ここで諦めたら、何もならないじゃない。

「さて、サハリに一旦戻るか?」

「うん。」

検査の結果を教えてあげないと。

皆が待っている。


私とバスの運転手さんは、サハリ行きのバスに乗り込み、皆の元へと急いだ。
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