砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「今日は眠れないな。千奈、おまえさんは夜のバスで、宮殿に帰っていいぞ。」

「いいえ。私も残ります。」

「おまえさんまで倒れたらどうするんだ。」

「大丈夫です。体力には自信があります。」

そう言うと私は、近くにあった紙に、アムジャドへの言葉を書いた。


【今日は診療所に泊まります。
 心配しないでください。】


それを半分に折って、バスの運転手さんに渡した。

「これをアムジャドに。」

「分かりました。」

そしてアムジャドへの手紙を乗せたバスは、サハルを発った。

「私、あの子の側にいます。」

「ああ。くれぐれも感染しないように、気をつけるんだぞ。」

「はい。」

私は頷くと、一番奥に横になっているあの子の側に行った。

「名前は?」

聞いても、じっと私を見るだけの子供。

服装からして、男の子だ。

「頑張って。よくなったら、一緒に遊ぼうね。」

私は、その子供の腕を摩ってあげた。


それから2時間程経った頃だ。
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