砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「それに何と言っても、愛するチナを危険にさらした。僕はその事が悔やまれてならない。」

皆の前で、アムジャドが私を抱きしめた。

「アムジャド。」

「すまない、チナ。」

ふと見ると、イマードさんが相変わらず冷たい目で見てくる。

私は見せつけの為に、思いっきりアムジャドを抱きしめた。


「それにしても、薬も送って頂いて、本当に良かったですね。」

「本当に。」

私はイマードさんに、笑顔で答えた。

「これで事態は終息に向かうといいな。」

「そうね。」

また子供達の笑い声が、ここに響けばいい。

そして、ふっと力が抜けた時だ。

私はクシャミを一つした。

「大丈夫か?チナ。」

「うん。ただのクシャミ。」

「モルテザー王国では、クシャミは病気の始まりだと言われている。僕のお姫様が病気になったら、大変だ。」

するとアムジャドは、私の額に手を当てた。

「少し熱があるな。」

「そう?」

私は診療所の中に入ると、体温計で熱を測った。
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