砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「アムジャド皇太子、大変です!」

「どうした!」

「サハルへ行く道路の一部が、土砂崩れで封鎖されました。明日のサヘル行きは難しいかと。」

辺りがシーンとなる。

「……そんな馬鹿な。」

アムジャドが、私の手を握る。

「ああ、どうしたらいいんだ。」

「アムジャド?」

「薬が……手に入らない。」

「えっ?」

「土砂崩れで、道が封鎖されてしまった。」

私は、アムジャドの手を強く握った。

「大丈夫。子供達だって、血液検査の結果が出るまで、点滴で頑張ったんだもの。私も頑張るわ。」

「チナ……」

「さあ、アムジャドも部屋から出て。移ったりしたら、仕事に差し障るもの。」

私はアムジャドの手を放した。

「いや、僕はチナの側にいる。」

放した手を、アムジャドは握り返した。

「ダメよ。あなたまで病気になったら。」

「僕は病気にならない。」

目を開けて、アムジャドの真っすぐな瞳を見た。
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