砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「チナ、今夜はゆっくりお休み。明日、病院の医師を連れて来て、点滴をさせよう。」

「うん。」

私は目を閉じると、スーッと夢の世界へと落ちた。


「チナ。愛している。」

その言葉と共に。


しばらくすると、私は真っ白な世界を歩いていた。

「ここはどこだろう。」

歩いても歩いても、白い世界。

すると、遥か向こうに人が歩いていた。

「おーい!」

呼んでもその人は、こちらを振り返らない。

「ねえ!聞こえる?」

私はその人の後を追いかけるように、走った。

「待ってよ!」

振り向いたその人は、肺炎で命を落としたあの男の子だった。

「えっ!」

「何を驚いているの?」

男の子は、真っすぐ私を見つめている。

「僕、死んじゃったんだ。」

「う、ん……」

すると男の子は、私の腕を掴んだ。

「お姉ちゃんも、こっちの世界においでよ。」

目の前を見ると、白い世界に、ぽっかり黒い渦が浮かび上がっていた。
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