砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
王の取り計らい
私が倒れてから三日後、ようやくサハルから薬が届けられた。

「さあ、チナ。薬を飲んで。」

アムジャドから薬を渡されても、喉が痛くて、飲む気がしない。

「チナ。どうした?薬を飲まないと、治らないよ。」

「うん……」

目を半分開け、遠くを見つめる私を、アムジャドは抱き起してくれて、口移しで薬を飲ませてくれた。

「ん?」

ゴクンと薬を飲んだ私を見て、アムジャドのため息が聞こえる。

「よかった。」

アムジャドに抱き寄せられ、彼の匂いが鼻をくすぐる。

「この2,3日。チナの事ばかり考えていた。チナを失ってしまったら、僕は生きていけない。」

私の頬に、アムジャドの涙が落ちてきた。

「チナ。もう僕は、チナのいない世界に戻りたくない。一緒に暮らそう。僕は、皇太子の座を降りるよ。」

「アムジャド……」

「静かな場所に移って、僕達だけで暮らすんだ。その方がいい。」
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