砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「約束だよ、チナ。僕を一人置いて、逝ってしまったら駄目だ。」

アムジャドの私を抱きしめる力が、強くなる。

「アムジャド。これ以上ここにいたら、病気が移ってしまうわ。」

「チナの移されるのなら、本望だよ。」

アムジャドが私を見つめる。

「チナ。どうして僕は、こんなにもチナを愛しているだろう。」

「えっ?」

「君に会うまで、僕は孤独だった。どんな人と付き合おうと、僕の孤独を満たしてくれる人はいなかった。君だけだ。一緒にいると僕がこの世に生まれてきた意味を思い知らされる。」

アムジャドは、私の額にキスをした。

「チナ。僕はチナと出会う為に、この世に生まれてきたんだよ。チナもそうであって欲しいな。」

私は、クスッと笑った。

「聞くまでもないでしょう?」

「チナ?」

「私もあなたに会う為に、この世に生まれた。じゃなきゃ、日本を離れて、中東に来ないわよ。」
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