砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「国王……それでは、私達もモルテザー王国公認の医師として、働けるのですね。」

「ああ。こちらこそ、お願いしたいくらいだ。」

私は喜びの涙を流した。


「そしてもう一つ、二人の事だ。」

「はい。」

アムジャドが改めて座り直した。

「チナを、アムジャドの妃に迎え、将来の王妃としての仕事を任せようと思う。」

「父上!」

アムジャドは立ち上がり、顔を覆った。

まるで神に感謝しているようだった。

「チナの、アムジャドへの想い。そしてアムジャドのチナへの愛。二つとも別つ事ができないものだと、判断した。これからは、公に夫婦として一緒に暮らせばよい。」

「ありがとうございます。父上。」

「国王。なんてお礼を申し上げれば……」

泣きじゃくる私に、国王は微笑んでくれた。

「礼は、これからの役目を果たしてくれれば、それでいい。それよりも一人の親として、アムジャドを愛してくれた事。感謝しても感謝しきれない。」
< 305 / 311 >

この作品をシェア

pagetop