砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
こうして私達は、モルテザー王国の皇太子夫妻として、新たなスタートを切る事になった。

なになに?

じゃあ、医者の仕事はって?

それは……


「はい!診て貰いたい人、手を挙げて。」

「はーい!」

私は、手をチョコンと挙げた男の子の前に座った。

「具合が悪いのかな。ちょっとお姉ちゃんに、身体を見させてちょうだいね。」

肺の音を聞くと、かなりヒューヒューと言う音が聞こえる。


私は相変わらず、バスで1時間かけてこのサハルに来て、医者を続けている。

「ったく。未来の王妃が、へき地で医者をやっているなんて、日本人が聞いたら、腰を抜かすよ。」

「全くだ。」

皇太子妃になっても、仕事を辞めようとしない私に、土井先生と津田先生も呆れ顔だ。

「で?いつ式を挙げるんだ?」

「来月です。」

「来月!?アムジャドもさっさと式を挙げればいいものを。」

「皇太子の挙式となると、大掛かりな準備が必要なんですよ。」
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