砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
国王が、私達の結婚を告げると、ジャミレトさんは意気消沈で、今にも倒れそうだった。

それもそうだ。

小さい頃から王妃になる事を、信じ込まされ、今になってなれませんなんて、これからどうすればいいか、分からなくなるよね。

「……皇太子の妾妃にもなれないんですよね。」

「ジャミレト。すまない。妃はチナだけだと誓っている。」

鼻をすするジャミレトさんは、そのまま部屋を去った。

あまりにも悲しい別れに、私が後を追いかけると、イマードさんがジャミレトさんの腕を掴んでいた。

「放して!」

「放さない。俺はずっと、あなたに恋焦がれていた。」

おっ!

私は柱の陰に隠れた。

「あなたが皇太子の花嫁にならなければ……ずっと、そう思っていた。」

「イマード。」

イマードさんは、ジャミレトさんを抱き寄せた。

「あなたを手に入れるのは、今しかないと思う。どうか俺の花嫁になってくれ。」
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