砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
アムジャドは、黙っていた。

「アムジャド。あなたに秘密があるのは分かるけれど、その本の一部でも、教えてくれない?」

そう言った時のアムジャドは、苦しい顔をしていた。

「教えられないんだ。父上との約束で。」

「父上?」

今時お父さんの事を、父上と呼ぶだなんて。

もしかしてアムジャドは、偉い人の息子さんなのかな。

一流企業の御曹司とか?

「じゃあ、いつ教えてもらえるの?」

「帰国したら。」

アムジャドは、少し泣きながら微笑んで見せた。

「チナと一緒に国へ戻ったら、何もかも洗いざらい話すよ。」

「うん。約束よ。」

私は、小指を差し出した。

「なに?」

「指切り。」

私はアムジャドの小指に、自分の小指を絡ませた。

「指切りげんまん、お国に戻ったら、何もかも教えてくーれる。指切った。」
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