砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
婚約者
車の運転手の人がすぐに救急車を呼んでくれて、私とアムジャドは病院に向かった。

「アムジャド……私よ、千奈よ。分かる?」

薄っすらと目を開けたアムジャドは、うんと頷いた。

「ご家族の方?」

救急隊の人に、声を掛けられた。

「いいえ。恋人です。」

「彼女さん、家族の連絡先知っている?」

「すみません。私、分からなくて……」

こんな時、どうすればいいんだろう。

その時、イマードさんの顔が浮かんだ。

彼は、アムジャドの友人……ううん、それ以上の関係なのかもしれない。


”アムジャト様”


そう呼んだイマードさんに、連絡しなければならない気がした。

「彼、留学生なんです。大学に連絡してみてもいいですか?」

「はい。」

私はスマホから、大学の留学生会館に連絡し、イマードさんに来てくれるように頼んだ。
< 41 / 311 >

この作品をシェア

pagetop