砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「チナ!チナ!!」

後ろから、アムジャドの呼ぶ声が聞こえる。

ごめんなさい、アムジャド。

私、強くなるって、誓ったのに。


廊下を茫然と歩いて、2階の待合室に座っていると、目の前にイマードさんが現れた。

「……何ですか?また説教ですか?」

「いいえ。あなたが戻って来ないと、アムジャド様が落ち着いて下さらないんですよ。ここは一旦、病室に戻ってくれますか?」

「私じゃなくても、ジャミレトさんがいるわ。」

「アムジャド様も言ったでしょう。ジャミレト様は、親が決めた婚約者だと。」

胸が苦しくなる。

「今は……放っておいてください。」

「はぁー。またですか。」

イマードさんのその呆れた言葉に、私は彼を睨みつけた。

「だからジャミレト様にも、隙をつかれるんですよ。」
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