砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
車はあっという間に、学生会館に着いた。

「ありがとう、ジャミレト。」

「いいえ。アムジャド様の元気になられたお姿を拝見して、私もやっと帰国できます。」

「両親には、チナの事。まだ黙っていてくれ。」

「……分かりました。」

そうか。私の事はまだご両親に内緒なんだね。

ちょっと寂しい。

「チナさん。」

「はい?」

ジャミレトさんは、会った時と同じように、無表情で私を見つめた。

「日本にいる間、アムジャド様をお願いします。」

「は、はい!」

私はこの時、自分が認められた気がして、嬉しかった。

「今度は、私達の国でお会いしましょう。勝負はそこからよ。」

「えっ……」

車のドアがバタンと閉まり、ジャミレトさんは行ってしまった。

「勝負?えっ?」

そんな私をアムジャドは、笑って見ていたのだった。
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