砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
うーん。それで日本人の恋人は作るわ、事故に遭うわ、アルバイトはするわ、結婚とか言いだすわ、イマードさんの苦悩が分かるような気がする。

「イマードさん。一つ聞いてもいいですか?」

「何ですか。」

ちょっと苛立っているイマードさんに、今聞くのも何だと思うのだけど。

「さっきイマードさん、アムジャドの事を、高貴な方って言ってましたよね。」

「ああ……」

ちょっとドキドキしてきた。

「その……高貴な方って、どんな方なのか、今一分からなくて。」

「言ったらあなたは、腰を抜かしますよ。」

「えっ?」

腰を抜かす程高貴な方?

「……まさか、どこかの国の王子様だとか?」

するとイマードさんは、じっと私を見る。

「イマードさん?」

「まさか。お伽話の世界じゃあるまいし。」
< 68 / 311 >

この作品をシェア

pagetop