砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「本当にそれだけで済めば、いいでしょうけど。」

「えっ……」

「ずっと一緒にいれば、もっと一緒にいたくなる。他の女と一緒にいて欲しくない。子供も欲しい。そうなりますよ。」

私もそう思う。

でもそれすら許されない身分って、何?

「あまり深く考えなくて、いいんですよ。」

「はあ。」

「今を精一杯、楽しく生きる。それだけです。」

イマードさんはそう言うと、背中を向けて行ってしまった。


今をアムジャドと一緒に生きる。

でも……

「別れるなんて、嫌。」

どうしても訪れる、アムジャドの帰国を喜べない私は、どうしたらいいのだろう。

何もかも捨てて、アムジャドに付いていけばいいんだろうか。

それで、結婚できなかったら?

私は両手で顔を覆った。
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