砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「は、はい!」

本当のアムジャドを、教えて貰える時がやってきたのだ。

「僕はこのまま支度をして、国へ戻る。」

「うん。」

「そしてチナには、僕と一緒に国へ来てほしい。状況によっては、直ぐに結婚式をするかもしれない。」

「えっ?お父さん、危篤なのに?」

訳分かんない。

ああ、もしかして生きているうちに、花嫁を見せたいって事?

「そうだ。その後、僕は父の跡を継がなくては。」

「お父さんの跡……」

皆の頂点に立つのね。アムジャドが。

「チナ。黙っていてごめん。」

「うん。」

「僕は、アラブの小国、モルテザー王国の王子。跡を継ぐ皇太子なんだ。」

「えっ……」

目の前が、モノクロになった。

えっ?大会社の御曹司とか、そういうのじゃないの?
< 76 / 311 >

この作品をシェア

pagetop